今月のトピックス

ローカル・コモンズの利用方法【続き】

2011/10/01

地球温暖化対策の一つに、再生可能エネルギーを開発して、化石燃料の消費を節減・代替することがあげられます。日本では、再生可能エネルギーとして、太陽光発電や風力発電などの自然エネルギーが注目されていますが、現在、世界の再生可能エネルギーの8割は、開発途上国における薪や炭などのバイオマス・エネルギーです。

つまり、現段階での世界の再生可能エネルギーの中核は、太陽光発電やバイオエタノールなど先端技術を使うものではなく、薪や炭などの木質バイオマスを直接燃焼する伝統的な方法なのです。

ところで、バイオマスを燃やせば、二酸化炭素が発生しますが、バイオマスが植物の場合、それらが生長する過程で光合成により二酸化炭素を取り込んでいます。

つまり、バイオマス燃焼による二酸化炭素の排出=バイオマス生長による二酸化炭素吸収となり、差し引きすると二酸化炭素は増えません。このようなバイオマス・エネルギーの特徴をカーボン・ニュートラル(炭素中立性)といいます。

開発途上国ではバイオマス・エネルギーのもととなる薪を、集落近くの森林、マングローブ林、里山などローカル・コモンズで集めています。ローカル・コモンズとは、前回の項目で説明した通り、住民が無償で利用できる共有自然資源ですから、地域コミュニティの他の住民に配慮して、抑制的で持続可能な利用が図られています。


1枚目の写真は、フィリピン中部の海岸で、薪とする木質バイオマスを集めている子どもを撮影したものです。樹木ではなく、枝を利用する「柴刈り」をしています。電気やガスを利用できない貧しい人々でも、ローカル・コモンズが維持されていれば、バイオマス・エネルギーを利用して、煮炊きや調理することができるのです。木質バイオマスに頼った生活をしている人々は世界に10億人以上もいます。

2枚目の写真は、フィリピンの市場で販売されているコンロ(ストーブ、七輪)です。バイオマスを効率的に燃焼し、熱を回収するためには、コンロを使うことが有用です。森林を保全して再生可能エネルギーを開発するには、効率の良いコンロを普及することも重要な環境対策となります。

鳥飼行博