2010/07/15
前回の続きです。
今度は、国民(有権者)の立場で考えてみましょう。現在では、最初から投票しようともっている支持政党がある人は多くないようです。多くの場合、自分達の生活にとってメリットがあるかどうか、それぞれの人の価値観や信条等に応じて選挙の投票行動(投票棄権も含め)を決めることが多いでしょう。その際、自分達の痛みや負担が増えることを積極的に主張するような政治家や政党に必ず投票するという人はどれくらいいるでしょうか。
最初は、「○△手当/給付金」が本当に必要であるかどうかはわからないと思っていたとしても、制度としてもらえるならばとりあえずもらおうと考える人も少なくないでしょう。そして一度もらうことが当然になり、それが当たり前になってしまうかもしれない。そのような時に、将来「○△手当/給付金」が突然廃止なんて言われたら、「生活が困るから廃止は反対~」と考えるようになっている可能性はゼロではないのではないでしょうか。
同様に官僚組織や制度によって恩恵を得ている企業等もそれぞれの立場や状況に応じて合理的に意思決定をしようとすると考えてみましょう。ここでは詳細は省略しますが、おそらく、制度の縮小や廃止よりも維持、充実のメリットが大きいと考えるでしょう。ただし、制度の持続可能性を維持させるための改革や見直しには賛成するでしょう。
このように考えると、上記であげたアクターすべてにとって、制度拡充はマイナスにはなりません。つまり、それぞれが合理的な選択を行う結果として、支出が増える可能性が非常に高まります。特にGDP(国内総生産)などマクロレベルの経済成長とは関係なく、社会保障関連の支出は増えるという傾向があります。
無論、誤解のないように強調しますが、すべての支出増が悪であると言っているわけではありません。本当の問題は、こうした支出増と負担が必ずしも連動しないことです。支出増に応じて負担が増えるならば財政悪化は起きないはずですよね。また、負担が必要だと考えたとしても、負担の仕方や方法についてはそれぞれの利害が必ずしも一致しないことから一筋縄では決まらないという問題もあります。
人間は理性的であると同時に感情的な生き物です。景気がよいときは多少の負担増は耐えられても、景気が悪くなると負担は厳しい、避けたいというのが感情もあるかもしれません。
(堀真奈美)